Q1 |
銅屋根は葺いた当初は美しい色沢をもっていますが、
その後の色の変化はありますか? |
|
銅は昔から別名「あか」というように、最初は美しい赤橙色の光沢を持っています。
しかし、大気にさらされると次第に酸化して暗褐色になり、その後、緑色の緑青が生成します。この変化は自然環境の違いにより必ずしも同じ経過をたどるわけではありませんが、四季を通じて最も変化しやすいのは4月〜9月で、高温多湿な気象条件が色の変化を早くします。従って、寒冷地では緑青のできがやや遅いという傾向があります。
ただし、大都会では自動車の排気ガスなどの大気汚染の影響から銅板の表面が炭化の状況になり、容易に自然の緑青が生成しないこともあります。
なお、銅屋根いちめんの緑青の生成には通常20年位かかります。 |
|
Q2 |
大気汚染は、緑青の生成にどのような影響を与えますか? |
|
緑青の生成に最も大きな影響を与えるのは大気の組成と各種の水分(雨・雪・霧など)です。水分はそのpH値が生成速度に影響します。かつてはほとんど中性だった都会の雨も、最近は二酸化硫黄及び窒素化合物が大気に含まれているため弱酸性になっています。このような雨は緑青の生成を大いに促進しますが、二酸化硫黄の濃度が高い場合は逆に生成を防げます。
大気中の汚染物質のうちでも、銅板の変色に大きな影響を与えることはありません。
ただし、腰葺きのような瓦と銅板の組み合わせによる屋根は、わずかなすきまに微粒子状の物質がたまって、酸性雨と共に銅板を痛めることがあります。
また、住宅においては油を燃焼する場合(石油などによる暖房等)に生ずる排ガス(二酸化硫黄)は特に、悪影響を与えます。 |
|
Q3 |
銅屋根に緑青を、出来るだけ早く生成させる方法はないでしょうか? |
|
美しい緑青の銅屋根ができるには通常20年以上かかるわけですが、なんとか早く緑青の屋根にしたいという人も多いようです。このような場合は、人工緑青という方法が用いられております。
これは、工場で銅板の表面を人工処理して緑青色にする方法です。
この方法は特殊な技術(薬品の配合)が必要なので、従来は美術館などの記念碑的な建物の銅屋根に多く使われてきましたが、最近は神社・仏閣をはじめ一般住宅にも使用が増えてきてます。また、簡単な化学処理の方法も最近開発され、実際に使用されております。 |
|
Q4 |
銅屋根を葺いた当初の美しい銅色をなんとか長く保てませんか? |
|
銅板の表面に透明な保護皮膜を作ることによって、銅の光沢を一時的に保つことは可能です。しかし、保護皮膜自身が数ミクロンの薄い皮膜なので大気中で汚染され、次第に破られまだら模様になります。
銅素材の保護皮膜に敵したインクララックというクリアーラッカーがありますが、高温多湿で弱酸性の降る時代では、どんなに強力なクリアーで保護しても、施工当時のままの姿を十数年ももたせることはできません。
アメリカでは、ポリビニール・フローライドの透明なフィルムで皮膜した銅板が開発され、かなり長い年月銅の色を保つ効果を発揮しています。 |
|
Q5 |
昔からある神社・仏閣の銅屋根は、実に見事で美しいものですが、あの緑青は昔からいわれるような有害物質なのでしようか? |
|
緑青の主成分は塩基性炭酸銅ですが、環境の違いにより塩基性硫酸銅や塩基性酸化銅になることもあります。これらはいずれも耐候性が強く、緻密で害のない安定した皮膜です。緑青自身が降雨時に溶けるということもありません。この緑青が有害かどうかとのご質問ですが、これは昔から誤った考え方が長く語り継がれてきたためのご心配かと思われます。
そこで日本銅センターでこのもんだいの学術的な解明を東京大学医学部に依頼し長期の動物実験の結果、無害であることがわかり、このことは日本衛生学会でも発表されております。また、銅屋根竣工直後は降雨時に微量の銅イオンが一時的に溶けることがありますが、人体にはまったく影響ありません。
ただし、鯉・鮒・金魚などの淡水魚は、この銅イオンに敏感なので、屋根から流れる雨水を池や飼育槽に導かないようにする注意が必要です。 |
|
Q6 |
銅屋根を葺いた当初に、全体に色むら(変色)ができることがあるのはどうしてでしょうか? |
|
銅板の変色の程度に差が生じる原因は大別して三つあります。
(1)銅板製造メーカーが使用する変色防止剤(ペンザトレアゾールなど)により、変色の内容が多少異なることです。従って、一軒の屋根に使用する銅板は同一メーカーのものとすることが大切です。
(2)施工中の作業員の指紋や足型です。つまり、素手で葺き板を取扱ったり、泥のついた履物で銅板の上を歩いたりすると、その部分の変色が早くなり見苦しい色むらが浮き出てしまいます。しかし、これはごく一時的な現象で次第に消えていきます。いずれにしても、施工の際の手袋使用や履物の泥には注意することが必要です。
(3)銅板が葺かれた場所により雨のかかり方や風通しが違うことです。たとえば、鼻隠し 包み板などは水がかかる度合いが少ないので変色が遅れるといった具合になりますがこれらの変色や色むらも2〜3ヶ月でなくなります。 |
|
|